成長期に合わせた小児矯正の考え方|顎の発達と歯並びの関係を徹底解説
2025年11月18日
成長期に合わせた小児矯正の考え方|顎の発達と歯並びの関係を徹底解説

子どもの歯並びと顎の発達の深い関係
お子さんの歯並びが気になり始めたとき、多くの親御さんは「矯正治療」を考えるかもしれません。しかし、子どもの矯正治療は大人とは全く異なるアプローチが必要です。
なぜなら、成長期の子どもは顎の骨が発達途中にあり、この時期だからこそできる治療法があるからです。歯並びの問題は単に歯の位置だけでなく、顎の成長や口腔周囲の筋肉機能とも密接に関わっています。
子どもの上顎は6歳から10歳の間に大きさが決まり、下顎は思春期に成長します。男の子は18歳頃、女の子は13歳頃に下顎の成長がほぼ完了するため、この成長期をどう活用するかが将来の歯並びを左右する重要なポイントとなります。
本記事では、成長期に合わせた小児矯正の考え方と、顎の発達と歯並びの関係について、専門的な視点から詳しく解説していきます。
歯並びが悪くなる本当の原因とは
歯並びが悪くなる原因として、多くの方が「遺伝」を思い浮かべるでしょう。確かに遺伝的要因は無視できませんが、実は後天的な要因が大きく影響しているケースが少なくありません。
特に注目すべきは「口腔周囲筋」の機能不全です。舌・唇・頬の筋肉が正しく機能していないと、歯並びに悪影響を及ぼします。

舌癖が歯並びに与える影響
普段何もしていない時に、舌が常に歯に触れている状態を「舌癖」といいます。
たとえ小さな力でも、舌が常に歯を押し続けることで歯並びは崩れてしまいます。正しい舌の位置は、上の前歯のつけねの少し手前あたりに当たっている状態です。この位置から外れている場合、歯並びに影響を与える可能性が高くなります。
口呼吸がもたらす問題
口で呼吸していると舌は低位になり、上顎の成長を妨げて歯並び悪化の原因となります。
また、病原菌が喉の粘膜から直接取りこまれてしまうため、健康面でも良いことではありません。鼻呼吸が正常な顎の発育には不可欠なのです。
食生活と顎の発達
現代の食生活の変化により、柔らかい食べ物を好んで食べるようになってきました。咀嚼回数が減ると、顎の筋肉が発達せずに弱くなっていきます。
食物繊維を多く含む根菜類や、弾力のある食べ物をよく噛んで食べることで、咀嚼筋が発達し顎の骨の成長を促していきます。さらには、顔周りの血流が増加するために脳への血流がよくなり脳細胞の活性化にも繋がるといったことがわかっています。
成長期を活かした小児矯正の2段階治療
子どもの矯正治療は一般的に2段階で行われます。前半の治療を「I期治療」、後半の治療を「II期治療」といいます。

I期治療の重要性と目的
I期治療では、歯並びが悪くなる原因である「口腔周囲筋の機能不全」に着目します。
歯列矯正用咬合誘導装置(マイオブレース)を使用し、歯を直接動かすのではなく、悪い歯並びになってしまう原因をオリジナル装置やトレーニングで改善していく治療法です。可能な限りI期治療で完了することで、患者様の肉体的負担・経済的負担を抑えることができます。
年齢に応じた治療アプローチ
0歳から2歳では、歯並びはお口だけの問題ではなく、座り方、姿勢、抱っこの仕方が原因で悪くなってしまうことがあります。親御さんと一緒にお子様の正しい姿勢を獲得する訓練を行います。
3歳から5歳では、インファントという取り外しできるマウスピース型の装置を1日2回10分から20分利用することで、顎の成長を促し、歯並びが悪くなる原因を除去していきます。
6歳から9歳では、マイオブレーストレーナーという取り外し式の装置と舌・口・呼吸の訓練を行います。歯並びが悪くなる口呼吸、舌の突き出し、指しゃぶりなどを改善します。
II期治療の役割
I期治療が終わり、顎の補正が完了しても、歯並びそのものがでこぼこしていたり、歯が回転して生えていたり、上下の噛み合わせが良くなかったりすることがあります。その場合に、仕上げのII期治療を行います。
本格矯正には唇側マルチブラケット矯正(ワイヤー型)とマウスピース矯正(インビザライン)の2種類があり、患者様の状態に応じて最適な方法を選択します。
家庭でのトレーニングの重要性
I期治療の成功には、ご自宅での毎日のトレーニングが欠かせません。トレーニング自体は難しくはありませんし、痛みも一切伴いません。しかし、「継続」が大切になります。
専門スタッフによるサポート体制
トレーニング方法は、専門のトレーニングを受けた専任スタッフがお伝えします。お子様に継続してもらうため、親御さんの協力が必要となります。
ご自宅でも精度の高いトレーニングを実施してもらうため、ご自宅のパソコンや携帯で閲覧できるオリジナルアプリケーションをダウンロードし、アニメのキャラクターと一緒に楽しくトレーニングができる環境を整えています。
トレーニングを継続するコツ
このトレーニングを行わないと効果が半減してしまいます。そのため、お子様が楽しみながら続けられる工夫が重要です。
親御さんが一緒に取り組むことで、お子様のモチベーションを維持しやすくなります。毎日の習慣として定着させることが、治療成功への近道となります。
矯正治療のメリットとリスクを正しく理解する

矯正治療には多くのメリットがありますが、同時にリスクや注意点も存在します。治療を始める前に、これらを正しく理解しておくことが大切です。
矯正治療のメリット
噛み合わせが整うことで、食事がしやすくなり、消化機能の向上にも繋がります。また、歯磨きがしやすくなることで、虫歯や歯周病になりにくくなるという大きなメリットがあります。
さらに、正しい噛み合わせは発音の改善や、顎関節症の予防にも効果があります。見た目の改善だけでなく、お子様の健康面でも多くのメリットがあるのです。
治療に伴うリスクと副作用
矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間から1、2週間で慣れてきます。
治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。
歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことや、歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
治療費用について
矯正治療の費用は症状や治療内容によって異なりますが、約22万円から110万円(税込)ほどかかります。自費診療となり健康保険対象外であるため高額になることがありますが、お子様の将来の健康への投資として考えることが大切です。
予防矯正は44万円、本格矯正は77万円から110万円(税込)となっており、予防矯正から移行した場合は33万円(税込)で本格矯正を受けることができます。
治療開始の最適なタイミング
親御さんが「矯正した方がいいかな?」と思った時は、適切な治療開始時期を逃してしまっていることが多々あります。
大人の歯(前歯)が生えてきたら、治療するしないにかかわらず一度ご相談にお越しください。プロの目で診断することで、今後どのように歯が動いていくのかを予測できますので、治療が必要になるか否か、治療開始時期はいつ頃がいいかなどをお話しさせて頂きます。
受け口は早めの対応が重要
受け口(反対咬合)は、成長とともに治療が困難になる場合が多く見られます。悪い咬み合わせでものを噛みつづけることで、自分の歯を傷つけてしまい、歯肉がさがり、歯がぐらぐらになってしまったり、時には歯が欠けてしまうこともあります。
また、歯並びが悪いために、正しい位置でまっすぐに噛めず、あごをずらして噛む習慣が、骨格的なあごの歪みへと発展する場合があります。このような状態にならないようにするには、早期の対応が重要です。
顎を広げる矯正の適齢期
顎の矯正は、顎の成長が活発な7歳から12歳の間に行うとより効果を発揮します。上顎は12歳で成長がほぼ完了し、15歳以降は下顎を含めた顎の成長も止まるため、その後の拡張は困難です。
成人後は外科手術で顎を広げることも可能ですが、費用と体への負担が大きいため、成長期に矯正治療を受けることが推奨されます。
まとめ|成長期だからこそできる小児矯正
成長期の子どもの矯正治療は、単に歯を動かすだけでなく、顎の成長をコントロールし、口腔周囲筋の機能を改善することで、根本的な原因にアプローチできる治療法です。
I期治療で口腔周囲筋の機能不全を改善し、必要に応じてII期治療で歯並びを仕上げていくという2段階のアプローチにより、お子様の肉体的・経済的負担を最小限に抑えながら、理想的な歯並びと噛み合わせを実現することができます。
大人の歯が生えてきたタイミングが、矯正相談の最適な時期です。早めの相談により、お子様に最適な治療計画を立てることができます。
お子様の健やかな成長と、将来の健康のために、成長期を活かした小児矯正をぜひご検討ください。専門の歯科医師が、お子様一人ひとりの状態に合わせた最適な治療プランをご提案いたします。











