インプラント治療の流れ〜初診から完了まで詳細解説
2025年10月21日
インプラント治療とは?基本的な理解から始めましょう
歯を失ってしまった時、どのような治療法があるのか悩まれる方は多いでしょう。入れ歯やブリッジという選択肢もありますが、近年特に注目されているのがインプラント治療です。
インプラントとは、失った歯の代わりにあごの骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。天然の歯に最も近い感覚と機能を取り戻すことができるのが大きな特徴となっています。
チタンやチタン合金でできた人工歯根(インプラント体)をあごの骨に埋入し、骨と結合させることで強固な土台を作ります。この結合のプロセスは「オッセオインテグレーション」と呼ばれ、インプラント治療の成功において非常に重要な要素となっています。

インプラント治療は基本的に3つのパーツから構成されています。骨に埋め込む「インプラント体」、インプラント体と人工歯をつなぐ「アバットメント」、そして見た目や機能を担う「上部構造(人工歯)」です。
当院では「残すことができる歯は可能な限り残す」という基本理念のもと、インプラント治療を提供しています。インプラントを希望して来院される患者様すべてに、すぐにインプラント治療を行うわけではありません。まずは歯周病治療や根管治療といった基本治療で歯を残せる可能性を徹底的に検討します。
どうしても歯を残すことができない場合に初めて、インプラント治療を選択肢として提案しています。歯は一つの「臓器」であり、簡単に取り除いていいものではないという考えのもと、患者様の大切な歯を守る治療を心がけています。
インプラント治療の5つのメリット
インプラント治療には、他の歯の欠損補綴法と比較して多くのメリットがあります。実際の臨床経験から、患者様が感じる主なメリットをご紹介します。
まず最大の特徴は、「しっかり噛める」ということです。インプラントは骨に直接固定されるため、入れ歯のようにずれたり外れたりする心配がありません。天然歯に近い感覚で、硬いものでもしっかり噛むことができます。
次に「見た目が自然で美しい」点が挙げられます。上部構造にはセラミックなどの材料を使用するため、天然の歯と見分けがつかないほど自然な見た目を実現できます。特に前歯のインプラントでは、この審美性が大きな魅力となっています。
さらに「話しやすい」というメリットもあります。入れ歯の場合、装置の厚みや形状によって発音がしづらくなることがありますが、インプラントは天然歯に近い形状のため、自然な発音が可能です。
また、インプラントは「他の健康な歯を守る」という予防的な側面も持っています。ブリッジでは隣接する健康な歯を削る必要がありますが、インプラントはその必要がないため、他の歯に負担をかけません。
最後に、最近の研究では「認知症予防にも繋がる可能性がある」ことも示唆されています。しっかり噛むことで脳に新鮮な血液が行き渡り、脳の活性化に繋がるという研究結果も出ています。
インプラントは一度の治療で長期間使用できるため、長い目で見ると費用対効果も高いと言えるでしょう。
インプラント治療の流れを詳細解説
インプラント治療は一日で終わるものではなく、複数のステップに分かれた治療プロセスです。当院での一般的な治療の流れをご紹介します。
STEP1:初診相談・精密検査(適応検査)
まず初めに、カウンセリングと精密検査を行います。患者様のお口の状態や全身の健康状態を詳しく診査し、インプラント治療が適しているかを判断します。
当院ではCTを用いた3次元的な診査診断を行い、あごの骨の状態や神経・血管の位置を正確に把握します。二次元のレントゲンでは見えなかった情報もCTなら確認できるため、安全性と治療のクオリティを高めることができます。
また、歯周病や虫歯がある場合は、インプラント治療の前にそれらの治療を優先して行います。インプラントの成功には健康な口腔環境が不可欠だからです。
この段階で、治療計画や費用、期間などについても詳しくご説明し、患者様のご理解とご納得を得た上で次のステップに進みます。
STEP2:インプラント埋入手術
精密検査の結果に基づき、インプラント体を埋入する手術を行います。当院では、CTデータをシミュレーションソフト(ノーベルガイド)に取り込み、手術前に詳細な計画を立てます。
さらに安全性を高めるため、「ガイデッドサージェーリー」という技術も活用しています。これは、シミュレーションで得られた情報をもとに作成された専用のガイドを使用することで、より正確で安全な手術を可能にする方法です。
局所麻酔を行うため、手術中の痛みはほとんどありません。手術時間は症例によって異なりますが、1〜2時間程度で終わることが多いです。
STEP3:治癒期間(オッセオインテグレーション)
インプラント体を埋入してから約2週間後に抜糸を行います。その後、インプラント体とあごの骨がしっかりと結合するまで待ちます。この期間は「オッセオインテグレーション」と呼ばれ、通常3〜6ヶ月程度かかります。
下あごは上あごよりも骨が硬いため、一般的に治癒期間は短くなります。また、患者様の骨の状態や全身の健康状態によっても期間は変わってきます。
この治癒期間中、前歯など見た目に関わる部分では仮歯を装着することもあります。仮歯は最終的な人工歯ではないため、硬いものを噛むなどの負担は避けていただく必要があります。
STEP4:アバットメント装着と印象採得
オッセオインテグレーションが完了したら、インプラント体と人工歯をつなぐ「アバットメント」を装着します。その後、最終的な人工歯を作製するための型取り(印象採得)を行います。
印象採得から約2〜3週間で、患者様の口腔内に合わせた人工歯が完成します。
STEP5:上部構造(人工歯)の装着
最後に、完成した上部構造(人工歯)を装着します。噛み合わせの調整を行い、見た目や機能に問題がないことを確認して治療は完了です。
インプラント治療の全体の期間は、一般的に約半年程度です。ただし、骨の状態が良くない場合に骨造成が必要になるなど、追加の処置が必要になると期間は延びることがあります。
治療完了後も定期的なメンテナンスが重要です。インプラントを長持ちさせるためには、適切なケアと定期検診が欠かせません。
当院のインプラント治療の特徴
インプラント治療は、歯科医院によってアプローチや使用する材料、技術などが異なります。当院のインプラント治療の特徴をご紹介します。

安全性を最優先した診査診断
当院では、安全性を最優先に考えたインプラント治療を提供しています。具体的には、CTを用いた三次元的な骨の状態や神経位置の把握、シミュレーションソフト(ノーベルガイド)を活用した術前計画の立案、そしてガイデッドサージェーリーによる安全性の高い手術を実施しています。
従来の歯科医師の経験や勘に頼った手術から、データに基づいた正確で安全性の高い手術へと進化させることで、患者様により安心して治療を受けていただけるよう努めています。
世界的に信頼されるインプラントシステムの採用
インプラントメーカーは全世界で約200社、日本国内でも30社ほど存在します。当院では、その中から世界的に信頼されている「ノーベルバイオケア社」と「ストローマン社」の製品を採用しています。
治療実績、手術方法、価格、保障、安全性などを総合的に考慮して選定したこれらのインプラントシステムは、長期的な安定性と高い成功率を誇ります。
専門性の高いインプラント担当医
当院のインプラント担当医である中島孝輔医師は、昭和大学歯学部卒業後、東京歯科大学大学院で口腔インプラント学を専攻し博士号を取得しました。日本口腔インプラント学会専修医の資格を持ち、同学会から学術賞を受賞するなど、高い専門性と実績を有しています。
また、アメリカのロマリンダ大学のインプラントセミナーや、骨造成に関する専門的なセミナーなど、国内外の研修に積極的に参加し、常に最新の知識と技術の習得に努めています。
科学的根拠に基づいたメンテナンスシステム
インプラント治療後のフォロー体制も当院の大きな特徴です。特に注意すべきインプラント周囲炎(歯周病と類似しているが進行速度が10〜20倍速い)などに対応するため、科学的根拠に基づいたオリジナルのメンテナンスシステムを構築しています。
患者様ごとにオリジナルのメンテナンスプログラムを作成し、予防処置効果の検証も行っています。インプラントを長く使い続けるためには、この定期的なメンテナンスが非常に重要です。

インプラント治療を検討する際の注意点
インプラント治療は多くのメリットがある一方で、いくつかの注意点もあります。治療を検討される際に知っておくべきポイントをご説明します。
すべての方に適応するわけではない
インプラント治療は、骨粗しょう症や糖尿病などの全身疾患がある方、重度の歯周病がある方、ヘビースモーカーの方などは、治療のリスクが高くなる場合があります。また、あごの骨の量や質が不足している場合は、骨造成などの追加処置が必要になることもあります。
当院では、初診時の精密検査で患者様の状態を詳しく診査し、インプラント治療が適しているかどうかを慎重に判断しています。場合によっては、他の治療法をご提案することもあります。
治療期間と通院回数
インプラント治療は、一般的に半年程度の期間を要します。その間、初診相談・精密検査、インプラント埋入手術、抜糸、アバットメント装着、印象採得、上部構造装着など、複数回の通院が必要です。
お仕事や生活スタイルに合わせて無理のない治療計画を立てることが大切です。当院では、患者様のご都合に配慮しながら、最適な治療スケジュールをご提案しています。
治療後のケアとメンテナンス
インプラントは、適切なケアと定期的なメンテナンスを行うことで長期間使用することができます。しかし、メンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎などのトラブルが発生するリスクが高まります。
当院では、治療完了後も定期的な検診をお勧めしており、3ヶ月に1度のメンテナンスを受けていただくことで、5年間の保証制度も設けています。
インプラントを長く快適に使い続けるためには、ご自身での日々のケアと、プロによる定期的なメンテナンスの両方が欠かせません。
まとめ〜インプラント治療で健康な口腔機能を取り戻す
インプラント治療は、失った歯の機能と審美性を回復するための優れた治療法です。しっかり噛める、見た目が自然で美しい、話しやすいといったメリットがあり、適切なケアを行えば長期間使用することができます。
当院では「残すことができる歯は可能な限り残す」という基本理念のもと、まずは歯を残す可能性を徹底的に検討し、どうしても歯を残すことができない場合に初めて、インプラント治療を選択肢として提案しています。
安全性を最優先した診査診断、世界的に信頼されるインプラントシステムの採用、専門性の高いインプラント担当医、科学的根拠に基づいたメンテナンスシステムなど、当院ならではの特徴を活かし、患者様一人ひとりに最適なインプラント治療を提供しています。
インプラント治療をご検討の方は、まずはお気軽にご相談ください。精密検査とカウンセリングを通じて、あなたに最適な治療法をご提案いたします。
健康な口腔機能は、食事の楽しみだけでなく、会話や笑顔など、日々の生活の質に大きく影響します。インプラント治療で、自信を持って笑える日常を取り戻しましょう。











