インプラント周囲炎を防ぐ正しいケア方法|歯科医が教える長持ちの秘訣
2025年11月22日
インプラント周囲炎を防ぐ正しいケア方法|歯科医が教える長持ちの秘訣

インプラント治療後の最大の課題「インプラント周囲炎」とは
インプラント治療を受けた方にとって、最も注意すべき問題が「インプラント周囲炎」です。
インプラント周囲炎は、インプラント周囲の歯ぐきや骨に炎症が広がった状態のことで、「インプラントの歯周病」とも呼ばれる感染症になります。天然歯と歯ぐきの境目に溜まった汚れや細菌によって歯肉が炎症を起こし、やがて歯を支える骨まで溶かしてしまう歯周病と同様に、インプラントにおいても治療後の適切なケアを怠ってしまうと、細菌感染が起こる可能性があるのです。
インプラント周囲炎の発生率は研究によって異なりますが、一般的にはインプラントを受けた人の約10%から20%の間で発生するとされています。長期間にわたる追跡調査では、インプラントを受けた後の5年から10年で、約22%から43%の患者に何らかの形でインプラント周囲炎が発生することが報告されています。
インプラントは人工素材でできているため、天然歯のように虫歯になることはありません。しかし、だからといってケアを怠ってもいいわけではないのです。インプラントの周囲には天然の歯や歯茎が残っている場合が多く、それらが細菌の影響を受けるリスクがあります。
インプラント周囲炎の進行段階と症状
インプラント周囲炎は通常、二段階で進行します。

初期段階「インプラント周囲粘膜炎」の症状
インプラント周囲粘膜炎は、インプラント周囲の軟組織(粘膜)のみに炎症が限局している初期段階です。この段階では、インプラント周辺の歯肉が通常よりも赤く見え、感染部位の歯肉が腫れて触ると柔らかく感じられることがあります。
歯ブラシをかけたり、歯間ブラシを使用したりする際に、歯肉からの出血が見られることがあります。痛みは通常軽度ですが、触れたり圧力がかかったりしたときに痛みを感じることがあります。しかし、痛みなどがないことも多いため、炎症が起きていることに気が付かないこともあるので注意が必要です。
進行段階「インプラント周囲炎」の症状
インプラント周囲炎は、インプラント周囲粘膜炎が進行し、インプラントを支える骨にも炎症が及び始めた状態です。
歯肉の状態がさらに悪化し、色が濃くなり、腫れが増します。軽い刺激で歯肉から出血しやすくなり、感染した部位から不快な臭いが発生することがあります。痛みが増し、食事や話す際に不快感を感じることがあります。細菌のバイオフィルムが形成され、清掃が困難になります。
レントゲン検査で確認できる骨の減少が見られ、これがインプラントの安定性に影響を与えます。炎症が進むと、次第に骨が溶けてきてしまい、溶けてきてしまった歯槽骨は元には戻りません。そのまま炎症が進み続けると、インプラントを支えられなくなり、インプラントのグラつきや脱落が起こります。
インプラント周囲炎を引き起こす主な原因
インプラント周囲炎の最大の原因は「歯周病菌」です。
お口の中が不衛生な状態になり、歯周病菌が増殖することによって引き起こされます。歯磨きがきちんとできていないと、歯周病菌は増殖してしまいます。歯科医院の定期的なメンテナンスを受けていない場合も、落としきれない汚れが溜まってしまうので、注意が必要です。
喫煙習慣がある場合
タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させる作用があるため、血流が悪くなります。そのため、栄養が行き届かず、免疫力が低下します。喫煙は口腔内の血流を減少させ、組織の修復能力を低下させます。これにより、インプラント周囲の組織が細菌感染に対して脆弱になり、インプラント周囲炎のリスクが高まります。
インプラントは、天然の歯に比べて歯周病菌への抵抗力が弱いです。インプラント治療を希望する段階で喫煙していると、治療を行うことができない場合もあるので覚えておきましょう。
糖尿病や貧血がある場合
糖尿病の影響で血糖値が高いと、細菌に対する抵抗力が弱くなります。歯周病菌も同様です。糖尿病の場合、インプラント治療自体が行えない場合がありますが、血糖値のコントロールができていれば、インプラント治療を行うことができる場合もあります。
インプラント治療を行うことができた場合には、インプラント埋入後も、糖尿病のコントロールを引き続き注意していく必要があります。血液には、病気を治すための白血球や栄養を運ぶ役割がありますが、貧血がある場合、これらの機能が低下し、感染リスクが高まります。
歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合
歯ぎしりや食いしばりは、インプラントに過度な負担をかけ、周囲組織にダメージを与える可能性があります。これにより、炎症が起こりやすくなります。歯ぎしりを放置していると、インプラント周囲炎のリスクが高まります。
ほかの歯の歯周病が完治していない状態でインプラント治療を受けた場合
口腔内に歯周病菌が残っている状態でインプラント治療を受けると、その細菌がインプラント周囲に感染するリスクが高まります。インプラント治療前には、他の歯の歯周病治療を完了させることが重要です。
インプラントを長持ちさせるための正しいケア方法

インプラントは治療後の適切な予防管理を継続すれば、10年後の残存率は90%以上とされており、生涯にわたって使い続けられることが期待できます。
長期間にわたり安定して快適に使い続けるには、毎日の適切なセルフケアの実践と、定期的に歯科医院で検診やメンテナンスを受けることが最も基本的かつ有効な方法となります。
毎日の適切なセルフケアの実践
ご自身のお口の健康を守るために日々のセルフケアが最も重要であることは、やはりインプラント治療後においても同じです。
インプラント周囲は特にプラーク(細菌)が溜まりやすいので、ブラシだけでは不十分です。歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯と歯の間やインプラントの周りも毎日清掃しましょう。柔らかい歯ブラシを使い、インプラント周囲の歯茎を傷つけないよう、ソフトタイプのブラシで丁寧に磨きます。
抗菌性のマウスウォッシュを使用し、細菌の繁殖を抑えるため、定期的に使用することがおすすめです。口腔管理のプロフェッショナルである歯科衛生士の指導に沿って、適切なセルフケアグッズを活用しながら清潔な状態を保てるように努めましょう。
定期的に歯科医院で検診やメンテナンスを受ける

インプラントを長持ちさせ、健康な状態を保つためには、治療が終わった後も定期的に歯科医院でチェックを受ける必要があります。
定期検診では、一人ひとりに合わせた正しい歯磨きの仕方などをレクチャーさせていただき、日々のセルフケアだけではどうしても落としきれない汚れを専門のクリーニングで綺麗にしていきます。メンテナンスは3か月に1回程度が理想です。
この時、歯科医院でインプラントの定着状態や噛み合わせ、被せ物の調整なども行われます。ご自宅でのケアだけではどうしても不十分なため、歯科医院でのプロによるクリーニングや細菌の除去をサポートしてもらうことが推奨されます。
歯科医院では、自宅でのケアでは取り切れない汚れを専門的な器具で除去します。また、歯科医師がインプラントの状態や噛み合わせをチェックし、異常の早期発見につなげます。特にインプラント周囲炎は自覚症状が少ないため、定期検診での診断がリスク回避のカギとなります。
生活習慣の改善や全身の病気のコントロール
喫煙や過度の飲酒は避け、口腔内環境を整えましょう。規則正しい生活習慣を守ることが大切です。糖尿病などの全身疾患がある場合は、適切にコントロールすることがインプラント周囲炎の予防につながります。
歯ぎしり対策にナイトガードを使用することも効果的です。インプラントは天然歯と同様に見えますが、構造が異なるため、特に接合部分のケアが重要です。これらのポイントを習慣化することで、インプラントを長期間快適に使用できます。
むらせ歯科医院のインプラント治療とメンテナンス体制
むらせ歯科医院は、厚生労働省認定の「臨床研修施設」「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」として、経験年数・技術力・設備などの面で国に認められた数%の歯科医院の一つです。
当院では「ヨーロッパ基準の滅菌体制」に基づいた厳格な感染予防対策を実施しており、患者ごとに滅菌された新しい機器を使用し、診療台ごとにウイルスを含むPM0.1レベルの微粒子まで捕らえる空気清浄機を配置しています。
日本口腔インプラント学会「指導医」「認定医」など専門性の高いスタッフが在籍しており、可能な限り「痛みを抑えた」治療を実施し、「説明と同意」を最優先する方針を掲げています。「歯科医療をガラス張りに」というコンセプトのもと、納得いただけるまで何度でも説明し、同意のもとで歯科医療を提供しています。
むらせ歯科医院は「健口創造型歯科医院」として、お口のトラブル「ゼロ」の世界を目指しています。医療の本来の目的は「悪くなったところを治療する」ことではなく、「健康な状態を長期にわたって維持させる」ことであるという理念を持っています。
まとめ|インプラントを一生ものにするために
インプラント治療は、見た目の自然さや噛む力の回復といった大きなメリットがあります。しかし、メンテナンスを怠ると周囲炎やインプラントの破損などのリスクが増大します。
インプラントは虫歯にはなりませんが、周囲炎などのリスクを防ぐためのケアが必要です。毎日のセルフケアと定期的な歯科医院でのメンテナンスを徹底することで、インプラントを長持ちさせることができます。
千葉県市原市、袖ケ浦市、木更津市、五井、姉ヶ崎周辺の地域の皆様に信頼される歯科医院を目指し、1本でも多くの歯を残し、患者様とその家族のお口の健康を守るため、常に知識・技術の研鑚を行っています。インプラント治療やメンテナンスについてのご相談は、ぜひむらせ歯科医院にお任せください。
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