子どもの歯並びが集中力を左右する?顎の成長と脳の発達の深い関係
2025年11月20日
子どもの歯並びが集中力を左右する?顎の成長と脳の発達の深い関係

お子さんの集中力、実は「歯並び」が関係しているかもしれません
「うちの子、宿題に集中できなくて……」
そんな悩みを抱えている親御さんは少なくありません。実は、お子さんの集中力の問題は、性格や環境だけでなく「歯並び」や「噛み合わせ」といった口腔環境が深く関わっている可能性があります。近年の研究では、咀嚼機能と脳の発達には密接な関係があることが明らかになってきました。
東京医科歯科大学と神戸大学の共同研究によれば、成長期における咀嚼刺激の低下が記憶を司る海馬の神経細胞に変化をもたらし、記憶・学習機能障害を引き起こすことが突き止められています。つまり、しっかり噛めるかどうかが、お子さんの学習能力や集中力に影響を与えているのです。
この記事では、歯科医療の専門的視点から、子どもの歯並びと集中力の関係について詳しく解説していきます。顎の成長と脳の発達がどのように結びついているのか、そして親御さんができることは何なのか……一緒に見ていきましょう。
歯並びが悪いと集中力が低下する科学的根拠
「歯並びと集中力に関係があるなんて……」と驚かれる方もいるかもしれません。しかし、これは決して根拠のない話ではありません。

咀嚼刺激が脳に与える影響
よく噛むという行為は、単に食べ物を細かくするだけではありません。咀嚼によって脳への血流が増加し、神経細胞が活性化されることが分かっています。特に記憶や学習を司る「海馬」という脳の器官は、血液量の減少に非常に敏感です。
歯並びや噛み合わせが悪いと、正しく噛むことができません。その結果、脳への刺激が減少し、集中力や判断力が衰えてしまう可能性があるのです。マウスを用いた実験では、粉末飼料を与えて咀嚼刺激を低下させたマウスは、通常の固形飼料を与えたマウスと比べて記憶・学習機能が顕著に障害されることが確認されています。
口呼吸が引き起こす脳の酸素不足
歯並びの乱れは口呼吸を招きます。本来、人間は鼻呼吸を行うものですが、歯並びや噛み合わせが悪く口を閉じることが難しい場合、鼻呼吸ができずに口呼吸になってしまいます。
鼻でうまく呼吸できずに口呼吸で過ごすと、脳が大量の酸素を消費してしまい、脳を過剰に使って疲れさせている状態になります。疲れやすく集中力が落ちた状態では、勉強や遊びで良いパフォーマンスを出すことは難しいでしょう。また、口呼吸で口腔内が乾燥することにより、風邪をひきやすくなったり、虫歯や歯周病のリスクが増大したりします。
「ヒミコノハガイーゼ」が示すよく噛むことの重要性
「ヒミコノハガイーゼ」という言葉をご存じでしょうか?これは、よく噛むことによるメリットを表した標語です。
- ヒ:肥満防止……ゆっくりよく噛んで食べることで満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防ぐ
- ミ:味覚の発達……よく噛むと食べ物の味がわかり、味覚が発達する
- コ:言葉の発達……顎の成長が促されて歯並びが良くなり、正しい発音ができる
- ノ:脳の発達……脳に流れる血量が増えて、脳の働きが活発になる
- ハ:歯の病気予防……歯肉や粘膜のマッサージになり、唾液の分泌が促進されて口内を清潔にする
- ガ:がん予防……発がん性物質の毒性を弱める酵素を含んだ唾液の分泌が良くなる
- イー:胃腸快調……消化吸収がよくなり、胃の働きを助ける
- ゼ:全力投球……全力を出すときには歯をしっかりと噛み締める
このように、よく噛むことは脳の発達だけでなく、全身の健康に関わる重要な要素なのです。
顎の成長と全身への影響
歯並びの問題は、口の中だけにとどまりません。顎の成長不足や噛み合わせの悪さは、姿勢や運動能力にまで影響を及ぼします。
噛み合わせと姿勢の深い関係
噛む力や噛み合わせのバランスが崩れると、首や肩、背中の筋肉に負担がかかり、姿勢の崩れ(猫背や前かがみ)を引き起こします。悪い姿勢は呼吸を浅くさせ、集中力をさらに下げる悪循環に陥ります。
さらに、体幹が不安定になることで運動能力にも悪影響を与える可能性があります。食べ物を噛む際に使われる側頭筋という筋肉は、頭の横から顎の関節に繋がっています。噛み合わせが悪い場合、食べ物を噛むたびに側頭筋に負担がかかり、頭痛を引き起こすこともあります。症状が悪化すると、顎関節症を引き起こす原因にもなります。
舌の位置が全身に与える影響
お口の中でも「舌」は特に重要な役割を果たしています。舌が本来の正しい位置に収まっていないと、さまざまな悪影響を及ぼします。
舌は通常、上顎のくぼみ(口蓋)にくっついているのが正常です。ところが、舌を口蓋にくっつけられないお子さんが増えており、舌で歯をいつも触っている(押している)状態になります。舌によって歯が押され、受け口(反対咬合)や上下の前歯が噛み合わない状態(開咬)になることがあります。
また、舌の筋力が弱い場合、リラックスした状態になると舌の根っこが喉の奥に落ち込んでしまい、舌の根によって気道が狭くなります。その結果、口呼吸になったり、うつぶせ寝をするようになったりします。仰向けで寝ると舌がさらに沈下して苦しいため、横向き寝やうつ伏せ寝になり、顎が押さえつけられることで歯列がゆがんでくるのです。
歯並びと運動能力の関係
歯並びが悪いと食いしばれないため、力が入らないという問題も生じます。スポーツをする際に全力を出すときには、歯をしっかりと噛み締めることが重要です。噛み合わせが整っていないと、この踏ん張る力が十分に発揮できず、運動能力にも影響を及ぼす可能性があります。
成長期の咀嚼刺激が脳の発達に与える影響
成長期における咀嚼刺激の重要性は、科学的にも証明されています。
海馬への影響と記憶・学習機能
東京医科歯科大学と神戸大学の共同研究では、マウスに離乳期から成長期にかけて粉末飼料を与えることで咀嚼刺激を低下させるモデルの解析が行われました。その結果、粉末飼料を与えたマウスでは、通常の固形飼料を与えたマウスと比べて、顎顔面の骨や噛むための筋肉の成長が抑制され、記憶・学習機能も顕著に障害されることが見いだされました。
記憶・学習を司る脳領域である海馬を解析したところ、神経活動やシナプス形成、脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現が低下し、神経細胞が減少していることが明らかになりました。このことから、成長期に咀嚼刺激が低下すると、顎骨や咀嚼筋の成長と記憶・学習機能が障害される可能性が示されたのです。
現代の食生活と咀嚼回数の減少
加工食品などの柔らかく栄養価の高い食品が普及することによって、現代人の咀嚼回数は劇的に減少しています。成長期に咀嚼回数が低下すると、顎の骨や噛むための筋肉だけでなく、脳の発達にも悪影響を及ぼすことが知られています。
また、加齢に伴い歯を失うことによって咀嚼機能が低下すると、認知症のリスクが高まることも分かってきました。現在、高齢化は全世界で進行しており、咀嚼機能の低下とそれに伴う脳機能の低下が大きな問題となっています。
咀嚼と高次脳機能を結びつける分子メカニズム
咀嚼機能と高次脳機能の関係には不明な点が多く残されていますが、研究の成果は記憶・学習機能障害や認知症の予防において咀嚼機能の維持または強化が有効であることを示唆しています。将来、ヒトを対象とした研究を含め、咀嚼機能と脳機能を結びつける分子メカニズムがさらに詳細に解明されることによって、認知症や記憶・学習機能障害の新たな治療法や予防法の確立につながることが期待されています。
むらせ歯科の小児矯正アプローチ……原因から改善する治療法
では、実際にどのような治療法があるのでしょうか?むらせ歯科では、子どもの矯正治療を2段階で提供しています。

I期治療……歯並びが悪くなる「原因」にアプローチ
なぜ歯並びが悪くなるのでしょうか?原因は「口腔周囲筋(舌・唇・頬の筋肉)」の機能不全です。分かりやすい例でお伝えすると、普段何もしていない時に舌が常に歯に触れている状態を「舌癖」といいます。つまり、常に歯に対して一定の力が与えられている状態です。こんな小さな力でも歯並びは崩れてしまいます。
むらせ歯科のI期治療では、「歯列矯正用咬合誘導装置(マイオブレース)」という方法で、これらの問題を改善していきます。歯列矯正用咬合誘導装置(マイオブレース)矯正は、歯を直接動かすのではなく、悪い歯並びになってしまう「原因」をオリジナル装置やトレーニングで改善していく治療法です。
年齢に応じた治療アプローチ
むらせ歯科では、お子さんの年齢に応じて最適な治療法を提供しています。
0歳~2歳……歯並びはお口だけの問題ではなく、座り方、姿勢、抱っこの仕方が原因で悪くなってしまうことがあります。親御さんと一緒にお子様の正しい「姿勢」を獲得する訓練を行います。
3歳~5歳……インファントという取り外しできるマウスピース型の装置を1日2回10分~20分利用することで、顎の成長を促し、歯並びが悪くなる原因を除去していきます。
6歳~9歳……マイオブレーストレーナーという取り外し式の装置と舌・口・呼吸の訓練を行います。歯並びが悪くなる口呼吸、舌の突き出し、指しゃぶりなどを改善します。
家庭でのトレーニングの重要性
トレーニングというと「難しそう」「続けられるかな……」と不安に思われるかもしれません。トレーニング自体は難しくはありませんし、痛みも一切伴いません。しかし、「継続」が大切になります。このトレーニングを行わないと効果が半減してしまいます。
そのため、お子様に継続してもらうため、親御さんの協力が必要となります。トレーニング方法は、専門のトレーニングを受けた専任スタッフがお伝えします。また、ご自宅でも精度の高いトレーニングを実施してもらうため、ご自宅のパソコンや携帯で閲覧できるオリジナルアプリケーションをダウンロードし、アニメのキャラクターと一緒に楽しくトレーニングができる環境を整えています。
II期治療……仕上げの段階
I期治療が終わり、顎の補正が完了しても、歯並びそのものがでこぼこしていたり、歯が回転して生えていたり、上下の噛み合わせが良くなかったりすることがあります。その場合に、仕上げのII期治療を行います。
むらせ歯科では、「歯並びを創造」することと同時に「患者様の肉体的負担・経済的負担を抑える」ことを重視し、可能な限りI期治療で完了するよう治療を進めています。どうしてもII期治療まで必要な場合は、しっかりとお子さんと親御さんにご説明させて頂き治療を進めていきます。
親御さんができること……早期発見と適切なタイミング
お子さんの歯並びや集中力について、親御さんができることは何でしょうか?
「大人の歯が生えてきたら」が相談のタイミング
特にお子様の歯並びの場合、親御さんが「矯正した方がいいかな?」と思った時は、適切な治療開始時期を逃してしまっていることが多々あります。大人の歯(前歯)が生えてきたら、治療するしないにかかわらず一度ご相談にお越しください。
プロの目で診断することで、今後どのように歯が動いていくのかを予測できますので、治療が必要になるか否か、治療開始時期はいつ頃がいいかなどをお話しさせて頂きます。幼児期または学童期の初期から矯正治療をスタートすることが理想的です。
日常生活で気をつけたいポイント
歯並びの異変に気づいたら、できるだけ早めにご相談を。お子さまの成長に合わせて早期に治療を始めれば、永久歯を抜くことなく、見えにくい装置を使用し、健全な噛み合わせを育成することができます。
また、日常生活では以下のような点に注意してみてください。
- お口がポカンと開いていないか
- 食事中に立ち歩いたり、集中できていないか
- 姿勢が悪く、猫背になっていないか
- よく噛まずに飲み込んでいないか
- 指しゃぶりや舌を突き出す癖がないか
これらのサインが見られたら、早めに専門家に相談することをおすすめします。
矯正治療のメリットとリスク
矯正治療には多くのメリットがありますが、同時にリスクも理解しておく必要があります。
メリットとして、噛み合わせが整うこと、虫歯や歯周病になりにくくなることが挙げられます。一方、デメリットとしては、抜歯が必要な場合があること、自費診療で高額になること、歯根吸収が起こる可能性があることなどがあります。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用として、装置装着後の違和感や痛み、治療期間の延長可能性、むし歯や歯周病のリスク増加、歯根吸収、金属アレルギー、顎関節症状、装置の誤飲、治療後の「後戻り」などが説明されています。これらのリスクについても、しっかりと理解した上で治療を進めることが大切です。
まとめ……お子さんの未来のために今できること
お子さんの歯並びは、見た目の問題だけではありません。集中力、学習能力、運動能力、そして全身の健康にまで影響を及ぼす重要な要素です。
歯並びや噛み合わせが悪いと、脳への血流が減少し、口呼吸によって脳の酸素が不足し、姿勢が悪くなって体幹が不安定になります。これらすべてが、お子さんの集中力や学習能力に影響を与える可能性があるのです。
むらせ歯科の小児矯正では、歯を直接動かすのではなく、歯並びが悪くなる「原因」である口腔周囲筋の機能不全を改善していきます。年齢に応じた適切なアプローチで、お子さんの成長をサポートします。
大切なのは、早期発見と適切なタイミングでの治療開始です。大人の歯が生えてきたら、一度専門家に相談してみてください。お子さんの笑顔あふれる未来のために、今できることから始めてみませんか?
むらせ歯科では、無料の矯正相談を実施しています。お子さんの歯並びや集中力について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。専門のスタッフが、お子さん一人ひとりに最適な治療プランをご提案いたします。
お子さんの健やかな成長と、充実した学びの時間をサポートするために……まずは一歩を踏み出してみましょう。











