成人の歯列矯正、今が始め時?専門医が教え…

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成人の歯列矯正、今が始め時?専門医が教える判断基準

2025年10月21日

成人矯正を検討する前に知っておくべき基本事項

歯並びの悩みは年齢を問わず多くの方が抱えているものです。「大人になってからでも矯正できるの?」「今から始めても遅くないの?」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。

結論からお伝えすると、歯列矯正は年齢に関わらず可能です。ただし、年齢によって治療の難易度やリスク、期間などが変わってくることは理解しておく必要があります。

私は東京歯科大学を卒業し、大学院でも矯正を専門に研究してきました。長年の臨床経験から言えることは、成人矯正の判断には単なる見た目の問題だけでなく、口腔機能や全身の健康との関連も考慮すべきだということです。

年齢別にみる歯列矯正の適性とリスク

矯正治療は幅広い年齢で行われていますが、年齢によって治療の難易度やリスクが異なります。年代別の特徴を見ていきましょう。

混合歯列期(8〜12歳)は、乳歯と永久歯が混在し、顎骨の成長が活発な時期です。この時期は歯の移動がスムーズで、顎の成長をコントロールできるため、骨格的な問題も根本的に改善できる可能性があります。

永久歯列完成期(13〜18歳)になると、永久歯が生え揃い、まだ顎の成長も続いています。細胞の代謝が活発で歯の移動に対する組織の反応が良好なため、効率的に歯を動かすことができます。

若年成人(19〜29歳)は顎骨の成長が完了していますが、骨代謝や細胞の活動性はまだ高く、歯周組織も健康で弾力性があることが多いです。そのため、歯の移動は比較的スムーズに進み、重篤な合併症のリスクも低いと言えます。

成人中期(30〜44歳)になると、骨の移動速度や歯周組織の再生能力が徐々に低下し始めます。また、歯周病や歯肉退縮といった問題を抱えている方も増えてくるため、治療前にこれらの問題を把握し対処することが重要です。

中高年期(45〜64歳)では、骨代謝がさらに低下し、歯の移動速度が遅くなる傾向があります。特に加齢による歯周組織の老化で歯根膜に含まれる幹細胞の数や機能が低下し、組織の再生能力が著しく落ちます。

高齢期(65歳以上)になると、骨密度の低下や全身疾患の影響もあり、治療のリスクと難度が高まります。ただし、口腔内が健康で全身状態が良好であれば、矯正治療は可能です。

歯列矯正が必要かどうかの判断基準

「歯並びが気になるけど、本当に矯正が必要なのか」と迷っている方も多いでしょう。矯正治療の必要性を判断する基準をいくつか紹介します。

咬み合わせの問題

咬み合わせのバランスが崩れると、周囲の筋肉や骨にも影響を及ぼします。顎関節症や顔の歪みだけでなく、全身の歪みにも直結し、肩こりや頭痛を誘発することがあります。

正しい咬み合わせの判断基準には、以下のようなポイントがあります。

  • 上の歯1本に対して下の歯2本が咬み合っている
  • 咬み合わせた時に、下顎前歯より上顎前歯が外側にきている
  • 咬み合わせた時に、上下前歯の隙間が5ミリ以下
  • 上顎前歯が下顎前歯より2センチ被さっている
  • 正中(歯の中心)がずれていない
  • 歯列が綺麗なU字のアーチ形をしている
  • 歯がまっすぐに生えている

これらの条件から大きく外れている場合は、矯正治療を検討する価値があります。

虫歯・歯周病のリスク

歯並びが悪いと虫歯や歯周病のリスクが高まります。その理由は主に清掃不良と口呼吸にあります。

歯が重なり合ってデコボコしていると、プラークが溜まりやすく、歯ブラシも行き届きにくくなります。また、咬み合わせが悪いと口が閉じにくくなり、口呼吸になりがちです。

口呼吸をしていると、口腔内が乾燥し、唾液の分泌量が減少します。唾液には自浄作用や抗菌作用があるため、これらの機能がうまく働かなくなることで、虫歯のリスクが高まるのです。

正常な咬み合わせであれば、上下の歯が接触することでプラークが自然に落ちることもありますが、咬み合わせが悪いと歯がうまく接触せず、自然に落ちるプラーク量も減ってしまいます。

咀嚼や発音の問題

交叉咬合(上下の奥歯が横にズレて前歯の中心が合わない状態)や、開咬(奥歯を咬み合わせた時に上下の前歯が咬み合っていない状態)では、食物を十分に咀嚼できず、胃腸への負担が大きくなります。

また、不正咬合の種類によっては「サ行」や「タ行」の発音が不明瞭になることもあります。

心理的な影響

歯並びがコンプレックスとなっていて、「上手く笑えない」「人と話すことに抵抗がある」「人前に出られない」など、精神面に影響している場合も矯正治療を検討する理由になります。

対人関係や社会生活にまで悪影響を及ぼしていれば、歯並びを改善することで自信につながることもあるでしょう。

成人矯正で考慮すべき重要ポイント

成人の歯列矯正を検討する際には、子どもの矯正とは異なる考慮点があります。ここでは特に重要なポイントをご紹介します。

歯周組織の健康状態

成人、特に30代以降の方は、歯周病のリスクが高まります。矯正治療を始める前に、歯周病の検査と必要に応じた治療を行うことが非常に重要です。

歯周組織が健康でない状態で矯正力をかけると、歯を支える骨の吸収が進んでしまうリスクがあります。歯周病が進行している場合は、まず歯周病の治療を優先し、安定してから矯正治療を開始するのが一般的です。

骨格的な問題の評価

成人は顎の成長が完了しているため、子どもの矯正で可能な「成長のコントロール」ができません。そのため、骨格的な問題(上顎や下顎の前後的・垂直的な位置関係の異常)が大きい場合は、歯列矯正だけでは限界があることも。

重度の骨格的問題では、外科的矯正治療(顎矯正手術)の併用を検討する必要があるケースもあります。ただし、見た目や機能の改善が目的であれば、外科手術を行わない「カモフラージュ治療」という選択肢もあります。

治療期間の長さ

成人の矯正治療は、子どもに比べて一般的に時間がかかります。これは、年齢とともに骨代謝が低下し、歯の移動速度が遅くなるためです。

標準的な治療期間は症例によって大きく異なりますが、軽度の叢生(歯並びの乱れ)であれば1〜2年程度、複雑なケースでは2〜3年以上かかることもあります。

治療期間の長さは精神的・経済的負担にもなりますので、事前に医師としっかり相談し、自分のライフスタイルに合わせた治療計画を立てることが大切です。

顎関節症への配慮

不正咬合(悪い歯並び)の多くは顎関節にトラブルを抱えている場合が多いです。むらせ歯科では、患者さんの希望に応じて矯正治療前にスプリント療法を行い、歯並びの改善と同時に顎関節症の改善も行っています。

これにより、顎関節症に由来する頭痛や肩こりなどの不定愁訴、顎の痛みや疲れ、歯ぎしり、顎の異音などの症状改善が期待できます。

成人矯正で選べる装置の種類と特徴

成人の矯正治療では、見た目や生活スタイルに配慮した様々な矯正装置が選べます。それぞれの特徴を理解して、自分に合った装置を選びましょう。

マウスピース型矯正装置

透明なマウスピースを使用する矯正方法で、近年特に人気が高まっています。むらせ歯科では「インビザライン」というシステムを導入しています。

マウスピース矯正の最大の魅力は、透明で目立ちにくいこと。さらに取り外しができるため、食事制限がなく、歯磨きや装置の洗浄も簡単に行えます。

ただし、装着時間が患者さん自身の判断に委ねられるため、指示通りに装着しないと治療期間が長くなってしまうというデメリットもあります。装着時間は1日20時間以上が推奨されています。

表側矯正装置(ブラケット)

従来からある最も一般的な矯正装置です。歯の表側に金属やセラミックのブラケットを装着し、ワイヤーを通して歯を動かします。

複雑な歯の動きにも対応でき、確実な治療効果が期待できる一方で、見た目が気になる方も多いでしょう。最近では目立ちにくいセラミック製のブラケットも普及しています。

裏側矯正装置(リンガルブラケット)

歯の裏側にブラケットを装着する方法で、外からはほとんど見えないのが最大の特徴です。人前に出る機会が多い方や、見た目を特に気にする方に選ばれています。

ただし、装置が舌に当たるため発音しづらい、装置の調整が技術的に難しいなどのデメリットもあります。また、表側矯正に比べて費用が高くなる傾向があります。

成人矯正で抜歯が必要になるケース

矯正治療において「抜歯」は避けたいと考える方も多いでしょう。しかし、場合によっては抜歯を伴う治療計画が最適なこともあります。

抜歯が必要となる主な理由

歯列矯正における抜歯は、虫歯や歯周病で抜歯するのとは異なり、「便宜抜歯」と呼ばれる目的で行われます。これは歯並びを整えるために計画的に健全な歯を抜く方法です。

抜歯が必要となる主な理由には以下のようなものがあります。

  • 顎の骨が小さくて歯が並ぶスペースが足りない
  • 歯のサイズが大きい・多いことでスペースが足りない
  • 上下の咬み合わせが極端に悪い
  • 重度の出っ歯や受け口

特に日本人は欧米人に比べて顎が小さいため、永久歯が並びきらずに重なり合って生えてしまうことがよくあります。

顎の成長が終わった成人の場合、スペースを確保するために歯列を大きく拡げることが難しく、無理に非抜歯で治療を行うと、歯列が外側に突出し、歯茎から歯根が飛び出す「骨外移動」や、咬み合わせの異常、歯茎の退縮を招くおそれがあります。

抜歯か非抜歯かの判断基準

抜歯か非抜歯かの判断は、レントゲン写真や口腔内の精密検査、歯と顎の比率(アーチレングスディスクレパンシー)の測定などに基づいて行われます。

また、患者さんの希望や年齢、全身状態なども考慮されます。例えば、若い方であれば拡大装置で顎を広げる選択肢もありますが、成人では骨の癒合が進んでいるため効果が限定的です。

抜歯・非抜歯の判断は矯正治療の成否を左右する重要な決断です。信頼できる矯正専門医と十分に相談した上で決めることをお勧めします。

信頼できる矯正歯科医院の選び方

矯正治療は長期間にわたるため、信頼できる医院選びが非常に重要です。どのような点に注目して医院を選べばよいのでしょうか。

矯正の専門性を確認する

矯正歯科治療は高度な専門性が求められます。日本矯正歯科学会の認定医や専門医、臨床指導医などの資格を持つ歯科医師が在籍しているかどうかは、医院選びの重要な判断材料になります。

むらせ歯科では、日本矯正歯科学会の有資格者が治療を担当しています。専門教育を受け、臨床経験を積んだ医師による質の高い治療を提供しています。

総合的な歯科治療が可能か

矯正専門の医院と異なり、虫歯治療や歯周病治療も行っている医院では、矯正治療前の初期処置や、矯正治療中の虫歯予防・歯周病予防が適切に対処できるメリットがあります。

矯正治療中は器具が口腔内に装着されるため汚れが付きやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。せっかく歯並びが綺麗になっても、虫歯や歯周病によって口腔の審美性や機能性が損なわれては本末転倒です。

「歯を綺麗に並べる」という基準だけではなく、「虫歯や歯周病を防ぐための処置をしっかりできるのか」も医院選びの判断基準として重要です。

コミュニケーションの取りやすさ

矯正治療は長期間のお付き合いになります。医師や医院スタッフとのコミュニケーションがスムーズに取れるかどうかは、治療を快適に進める上で非常に重要です。

初診相談で疑問や不安にしっかり答えてくれるか、治療計画や費用について明確に説明してくれるかなどをチェックしましょう。

むらせ歯科では、患者さんと医院とのコミュニケーションアプリを導入しています。このアプリでは、歯の動きをスライドショーで確認できたり、マウスピースの交換時期を通知する機能があり、患者さんとのコミュニケーションを円滑にするとともに、医院の作業効率化も図れ、サービス精度の向上につながっています。

まとめ:成人矯正を始める最適なタイミング

「成人の歯列矯正、今が始め時?」という問いに対する答えは、実はシンプルです。それは「悩んでいるなら、今がベストなタイミング」ということです。

歯列矯正は年齢に関わらず可能ですが、年齢が上がるほど骨の代謝は低下し、治療期間が長くなる傾向があります。また、歯周病などのリスクも高まります。つまり、矯正治療を検討しているなら、早く始めるほど有利なのです。

特に次のような状況にある方は、矯正治療を検討する良いタイミングと言えるでしょう。

  • 咬み合わせの問題で頭痛や肩こりなどの症状がある
  • 歯並びが悪く、虫歯や歯周病のリスクが高まっている
  • 咀嚼や発音に問題を感じている
  • 歯並びのコンプレックスが日常生活に影響している
  • 仕事や生活が落ち着いて、時間的・経済的に余裕がある

矯正治療は単に見た目を改善するだけでなく、口腔機能の向上や全身の健康維持にも貢献します。むらせ歯科のような専門性の高い医院で、あなたに最適な矯正治療を相談してみてはいかがでしょうか。

歯並びの悩みを解消し、自信に満ちた笑顔を手に入れるための第一歩を、今日から踏み出してみませんか?

 

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