小児矯正中の虫歯予防〜専門医が教える効果的な5つのケア方法
2025年10月21日
小児矯正中に虫歯リスクが高まる理由
お子さんの歯並びを整えるために小児矯正を始めたものの、「虫歯が心配…」と感じていませんか?
小児矯正は将来の健康な歯並びのために大切な治療ですが、装置を付けることで虫歯のリスクが高まることも事実です。特に子どもの歯は大人に比べてエナメル質が薄く、虫歯になりやすいという特徴があります。
矯正装置があることで、歯磨きがしづらくなり、装置の周りに食べかすや歯垢がたまりやすくなるのです。
なぜ矯正中は特に虫歯リスクが高まるのでしょうか?
装置に汚れがたまりやすい
矯正装置には、ブラケットやワイヤーなど複雑な形状の部品が使われます。これらの周囲には食べかすが溜まりやすく、通常の歯磨きでは取り除くのが難しくなります。
特にマイオブレースなどの矯正装置を使用する場合、装置自体の清掃も重要になってきます。装置の隙間に汚れが残ると、そこから虫歯菌が増殖してしまうのです。
矯正装置は、虫歯菌の格好の「隠れ家」になりかねません。

清掃しにくい部分が増える
矯正装置を付けると、歯と装置の間に小さな隙間ができます。この隙間は通常の歯ブラシの毛先が届きにくく、清掃が難しい部分です。
特にI期治療で使用するマイオブレースやインファント装置は、取り外しができるタイプですが、装着中は口内の自浄作用が妨げられ、唾液の流れも変わってしまいます。
唾液には虫歯を防ぐ働きがありますが、矯正装置によってその効果が弱まることも虫歯リスクを高める要因です。
食生活の変化
矯正治療を始めると、食べ物が装置に挟まりやすくなるため、食習慣が変わることがあります。
また、装置による違和感から、やわらかい食べ物を好むようになったり、食事の回数が増えたりすることも。特に甘いものを頻繁に摂取すると、虫歯リスクは一気に高まります。
子どもの場合、矯正装置の不快感から間食が増えることもあるんです。
小児矯正中の効果的な虫歯予防5つのケア方法
矯正中の虫歯リスクが高まることは分かりました。では、どうすれば効果的に予防できるのでしょうか?
私が長年の臨床経験から導き出した、小児矯正中の虫歯予防に効果的な5つのケア方法をご紹介します。これらを日常的に実践することで、矯正治療を成功させながら、お子さんの歯を虫歯から守ることができます。
1. 正しい歯磨き方法を身につける
矯正装置があっても効果的に歯を磨くには、専用の歯ブラシを使うことが大切です。矯正用の歯ブラシは、装置の周りの汚れを効率よく除去できるよう設計されています。
ブラケットの上下から毛先を斜めに当て、小刻みに動かしながら磨きましょう。特に装置と歯の境目は丁寧に磨くことがポイントです。
矯正用のタフトブラシ(小さな毛束ブラシ)を併用すると、通常の歯ブラシでは届きにくい細かい部分の汚れも落とせます。

お子さんの年齢によっては、保護者の方が仕上げ磨きをすることも重要です。特に就寝前の歯磨きは、夜間は唾液の分泌が減って虫歯リスクが高まるため、しっかり行いましょう。
2. 歯間清掃用具を活用する
矯正装置があると、歯と歯の間の清掃がより重要になります。歯ブラシだけでは取り除けない汚れを除去するために、歯間ブラシやデンタルフロスを活用しましょう。
ワイヤー矯正の場合は、フロススレッダー(糸通し)を使うと、ワイヤーの下にフロスを通しやすくなります。歯間ブラシは、ブラケットの周りや奥歯の清掃に特に効果的です。
最初は難しく感じるかもしれませんが、毎日の習慣にすることで、お子さんも徐々に慣れていきます。
歯間清掃は虫歯予防だけでなく、歯肉の健康を保つためにも欠かせません。
3. フッ素を活用する
フッ素は歯を強くし、虫歯の発生を防ぐ効果があります。矯正中は特にフッ素の活用がおすすめです。
フッ素配合の歯磨き粉を使用することで、日常的にフッ素を取り入れることができます。お子さんの年齢に合わせた適切な量を使いましょう。
また、定期的に歯科医院でのフッ素塗布を受けることで、より高濃度のフッ素を歯に塗布できます。フッ素は歯のエナメル質を強化し、酸に対する抵抗力を高めてくれるのです。

特に矯正装置の周りや、清掃しにくい部分にフッ素が行き渡ることで、虫歯リスクの高い部位を守ることができます。
4. 食生活を見直す
虫歯予防には、食生活の見直しも重要です。特に気をつけたいのは、糖分の摂取頻度です。
甘いものを食べる回数が多いと、口の中が常に酸性の状態になり、虫歯リスクが高まります。甘いものは食事の時にまとめて食べ、だらだら食べを避けるようにしましょう。
また、矯正装置にくっつきやすいキャラメルやガム、チョコレートなどの粘着性の高いお菓子は控えめにすることをおすすめします。
食後に水でうがいをする習慣をつけると、食べかすを洗い流し、口内環境を整えるのに役立ちます。
5. 定期的な歯科検診を受ける
矯正治療中は、通常よりも頻繁に歯科検診を受けることが大切です。矯正の調整と合わせて、虫歯のチェックやクリーニングを定期的に行いましょう。
プロによるクリーニング(PMTC)では、自宅でのケアでは取り切れない汚れも徹底的に除去できます。また、虫歯の初期段階(白斑や脱灰)を早期に発見できれば、進行を食い止めることも可能です。
「矯正だけでなく、虫歯予防のためにも定期検診が必要なんだ」とお子さんに理解してもらうことが大切です。
年齢別の小児矯正中の虫歯予防ポイント
お子さんの年齢によって、矯正治療の内容も虫歯予防の方法も変わってきます。むらせ歯科では年齢に応じた矯正アプローチを行っていますが、それぞれの年齢で気をつけるべき虫歯予防のポイントも異なります。
0〜2歳の虫歯予防
この年齢では、むらせ歯科の矯正治療では主に姿勢の訓練を行います。まだ歯が少ない時期ですが、虫歯予防の基礎を作る大切な時期です。
乳歯が生え始めたら、ガーゼや柔らかい歯ブラシで優しく拭き取ることから始めましょう。甘い飲み物を頻繁に与えないことも重要です。特に就寝時のミルクや甘い飲み物は避けるようにしましょう。
この時期から歯科検診に慣れさせることで、将来の歯科治療への恐怖心を減らすことができます。
3〜5歳の虫歯予防
むらせ歯科では、この年齢ではインファントという取り外し可能なマウスピース型装置を使用します。1日2回10〜20分の使用が基本ですが、装置の清潔を保つことが重要です。
装置を外した後は必ず水でよくすすぎ、専用のケースに保管しましょう。また、装置を使用していない時間帯の歯磨きも重要です。
フッ素入りの歯磨き粉を使い始める時期でもあります。米粒大の量を歯ブラシにつけて使用しましょう。この量なら飲み込んでも安全です。
おやつは時間を決めて与え、だらだら食べを避けることも大切です。
6〜9歳の虫歯予防
むらせ歯科では、この年齢ではマイオブレーストレーナーという装置と舌・口・呼吸の訓練を行います。装置の清掃と保管方法をしっかり守りましょう。
永久歯が生え始める時期なので、特に注意が必要です。生えたての永久歯はまだ弱く、虫歯になりやすいのです。
歯間ブラシやデンタルフロスを使い始めるのもこの時期です。最初は保護者が手伝いながら、徐々に自分でできるようにしていきましょう。
定期的なフッ素塗布も効果的です。歯科医院での塗布と自宅でのフッ素配合歯磨き粉の使用を組み合わせると、より高い予防効果が期待できます。
矯正中に虫歯ができてしまったら?
万が一、矯正中に虫歯ができてしまった場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。初期の段階であれば、矯正装置を外さずに治療できることがほとんどです。
しかし、虫歯が進行してしまうと、一時的に矯正装置を外して治療を行う必要が出てくることもあります。これにより、矯正治療の期間が延びてしまう可能性もあるのです。
虫歯の進行具合によっては矯正計画に影響が出ることもあるため、早期発見・早期治療が何より大切です。
むらせ歯科では、矯正治療と並行して定期的な虫歯チェックも行っていますので、少しでも気になることがあれば、遠慮なくご相談ください。
まとめ:小児矯正を成功させる虫歯予防
小児矯正は、お子さんの将来の歯並びと健康のために重要な治療です。しかし、矯正装置があることで虫歯リスクが高まることも事実です。
効果的な虫歯予防のポイントをおさらいしましょう:
- 矯正装置に合わせた正しい歯磨き方法を身につける
- 歯間ブラシやデンタルフロスなどの補助清掃具を活用する
- フッ素配合歯磨き粉の使用と定期的なフッ素塗布を受ける
- 糖分の摂取頻度を減らし、食生活を見直す
- 定期的な歯科検診で早期発見・早期対応を心がける
むらせ歯科では、「歯並びを創造」することと同時に「患者様の肉体的負担・経済的負担を抑える」ことを重視しています。そのためにも、矯正治療中の虫歯予防は非常に重要なのです。
お子さんと一緒に虫歯予防に取り組み、健康な歯で素敵な笑顔を手に入れましょう。矯正治療と虫歯予防の両立に関するご質問やご相談は、いつでもむらせ歯科にお気軽にお問い合わせください。
お子さんの健やかな成長と美しい歯並びのために、私たちは全力でサポートいたします。











